三寒四温
巷はようやく春めいてきた
世の中は楽しい三連休
ただそんな連休も、春の訪れも
どうでも良くなるほど真っ暗で
絶望の淵に立つ男がひとり
絶望の淵から
その男はいい意味でも悪い意味でも、所謂「人がいい」タイプの人間。
人から恨まれる事は少ないが、人からいいように使われてしまう。
そんなよく居る冴えない男。
人畜無害で、だからこそ平穏無事に過ごしていれば良かったものを、あろうことかべらぼうな借金をこしらえてしまう。
その金額は1400万円
「数百万の借金でも悶絶してしまうのに、1400万円なんてどうしたらいいんだよ…」
途方に暮れ、ネットを彷徨い、夜は殆ど眠れず、ようやく寝たかと思えば、悪夢にうなされ直ぐさま目を醒ます。
「あぁ、これが巷でよく言われる『人生詰んだってヤツか』」
男は自嘲気味に呟く。
今まで小さいながらも数多のトラブルに見舞われた。
だが、今回ばかりは流石にもうダメだろう。
これ迄にない暗く冷たく鋭い絶望感が、男の心を蝕んでいくのが分かった。
「このまま、俺の人生は終わっていくのだろうか……いや」
いや、まだ終われない、終わる訳にはいかない!
男は夜明けと共に外に出て、朝の空気を力一杯吸い込んだ
「出来る事を探していこう。俺はまだ諦めない」
続く…