株の恐ろしさを肌で感じたあの日の話…
※株に詳しい方は、本題まで読み飛ばして下さい。
※2019.1.29サンバイオショックについての記事もアップしました。
Contents
株は勉強になる
借金生活に入る前、実は少額ながら国内株式の売り買いをチマチマしておりました。
昔から株には興味があり、当時はまだ自由に使える資金もあったため、興味本意からネット証券に登録して株式投資をはじめました。
株は単なるギャンブルとは違い、
「今、世の中で何がトレンドなのか」
「社会情勢が経済に与える影響は何か」
など、お金の増えた減っただけではなく、色々と勉強になる部分もある為、少額からでも始める価値はあると考えます。
なぜ株が勉強になるのか
※株に詳しい方は、ほんと釈迦に説法なので本題まで読み飛ばして下さい。
世の中のトレンドを掴める
スマホゲームのパズドラが流行ったときに、開発会社の株価がとんでもなく上がるなど、世の中の流行と株価が連動しています。
ここ最近のトレンドだと、AIや仮想通貨などになるでしょうか。
株価は流行に敏感なので、株をやっていると、世の中の流行りものをいち早く掴むことができます。
政治、経済、世界情勢にも敏感になれる
株価は流行だけでなく、政治、経済、世界情勢にも大きく影響します。
国内だとアベノミクスがいい例ですね。他にもトランプ大統領就任や、イギリスのEU脱退を決める国民投票でも大きく株価が動きました。
普通に生活していると、どこか他人事に感じるニュースも、株の売買を行う事でより世界の動きを肌で感じる事ができます。
自分の会社の事がもっと良く理解できるようになる
今自分が働いている会社が上場企業であれば、勤務先の経営状況などを、さまざまな指標から客観的に見ることが出来ます。
例えば、売上はどのくらいあるのか、利益はどのくらい出ているのか、企業価値はどれだけあるのか等々。
自分の勤務先が今どんな状況にあるのか客観的に理解することで、働く上での視野が広がります。
手軽に始められる株の売買
ここ最近はネットなどのインフラが整った事により、パソコンやスマホでリアルタイムに株価チェックや株の売買が出来るようになりました。
デイトレなどの短期間売買は、まさにゲーム感覚で楽しむ事ができます。
株は10万円からでも始められる
株は昔と比べて敷居が低くなり、それこそ10万円からでも始める事が可能になりました。
株の値段もピンきりで、任天堂の株のように、最低でも300万円出さなければ買えないものもありますが、あまり聞いたことのない会社であれば数万円で買える株もあります。
私も最初10万円からスタートし、小遣いを継ぎ足しながら20万円まで資金を増やしていきました。(株の売買では残念ながら増えることはありませんでした)
ある銘柄との運命の出逢い
初めの頃は、資金が少なく買いたい株も買えないので、買えそうな株を売買していました。
しかし、どの株も特に思い入れがあるわけでは無いため、長く保持する事はありませんでした。
株の購入に当たっては、下記のようなサイトを閲覧し情報収集していました。
あるバイオ株との出逢い
そんなある日、とても魅力的な株と出逢います。
先ほどのサイトに掲載されたとあるインタビュー記事。
それは新進気鋭のバイオベンチャー企業の記事でした。創業者の新薬開発に賭ける熱い思いが語られており、その情熱や理念に心を打たれました。
会社の名は「アキュセラ」。
上場してすぐに株価は下がったものの、その後じわじわと株価が上がり、自分がその存在を知ったときには2000円近くまで株価が上がっておりました。
持っている株を全て手放せばギリギリ購入できる金額だった(2000円×100株)こともあり、他を全て売り払ってアキュセラの株に注ぎ込みました。
あれは一目惚れでした。
株を購入してから
購入後は伸びが止まり、購入金額の前後を行ったり来たりする状態が1ヶ月以上続きました。
しかしその後、創業者の露出が増えた事や、世間の認知度が高まったことにより、昇降状態を脱し、力強く3000円台まで株価が上がっていきます。
掲示板やTwitterなどでも、アキュセラを評価する書き込みが増えて行き、日を追うごとに期待感も膨らんできました。
バイオ関連の株はギャンブル性が強いと言われています。
普通の企業と違い、バイオベンチャーではこれまでにない画期的な新薬を開発する事が多く、当たればとんでもない企業価値を産み出す反面、失敗すれば最悪破綻に追い込まれる事もあります。
新薬は開発後もたくさんの関門が待ち受けております。
治験と呼ばれる厳しいチェックを幾度も経なければなりません。副作用が無いこと、また効果がきちんと有ることを立証して初めて世に出回ります。
また昔と比べ、近年では副作用などによる事故防止の観点から、新薬の承認はかなり厳しくなりました。
大手企業が実績と莫大な資金を費やしても、上手く行かないことはざらです。ましてやバイオベンチャーになると資金面の問題もあり更に確率は厳しくなっていきます。
そんな中でも、アキュセラの新薬は可能性に満ちあふれていました。
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更なる飛躍、そして…
アキュセラが開発した新薬は、全世界で推定1億3500万人の患者がいると言われている「加齢黄斑変性」と呼ばれる目の病気。
手術しなければ失明の恐れもある病気だが、これを目薬によって治療するというこれまでにない画期的な薬でした。
「これが世に出れば、世界中の多くの人が救われる!」
創業者は熱く語る。雑誌で、そしてテレビでも特集もして取り上げられます。
この薬は、先ほど説明した治験の第二関門をほぼほぼクリア出来ると見られており、最後の第三関門も省略できるかもしれないとまで噂されておりました。
更に、ある証券会社の社長も後押しするなど更なる期待と注目を集める事になり、株価は急激に上がっていきます。
3000円から先は、毎日数百円ずつ上がっていき、4000円、5000円…そしてついに7700円まで株価が吊り上がっていきました。
「新薬が発売されれば、株価10000円突破は下らない」
ネットでは大騒ぎになります。
株価が10000円まで上がれば、売れば100万円です。20万円から一気に100万まで跳ね上がる!私のテンションも最高潮に達しました。
しかし、7700円まで上がったその日、急激に株価が下がります。7000円を割り込み、遂にはストップ安と呼ばれるその日の最安値まで急落します。
なぜそのような事になったのか、その時は分かりませんでした。
掲示板などでは、「株の保有者を撹乱するために、誰かが大量に売りを入れた」「それによって周りがパニックになり、売りの連鎖が起こった」「明日にはまた急騰する」
不可解な急落に対して、株の保有者たちは私も含めて楽観的に考えていました。
少なくともこの時は5月の下旬。治験の第二関門の結果は6月に発表すると公式に発表があった為、雲行きが怪しければ最悪5月中に手放せば良いと考えていました。
しかし、その日の急落は単なる誰かの陽動では無かったこと、そして先に挙げた売り抜け作戦がいかに浅はかであったか、翌日思い知らされることになるのです…
悪夢の朝
昨日の急落が気になり、その日はいつもより早く目が覚めました。
確か6時頃だったと思います。
アキュセラの動向が気になり、Twitterや掲示板などで情報を集めると、不穏な書き込みが散見されました。
そして、ある一つの決定的事項にたどり着くのです。
「臨床試験において、この新薬で有効な結果を得る事が出来なかった」
新薬が失敗した。
一気に目が覚めます。
「何故?!結果発表は6月じゃないのか?なぜ前倒しで発表されるのか???それより、本当に失敗したのか?????」
心臓の鼓動が恐ろしいくらい早くなり、慌てて公式ホームページを開きます。
「やはり、失敗している…」
一瞬で目の前が暗くなります。
そして、直ぐ様アプリを立ち上げ、株の売却予約を入れます。
何とか今のうちに手放さないと。
しかし、新薬に失敗した企業の株など誰も要りません。
蓋を開けてみると、信じられないほどの売り注文が殺到していました。
この日から、株が売れない地獄の日々が始まります。
昨日で6000円まで下がった株が更に勢い良く転がり落ちて行きます。
1日経っても、2日経っても売れません。
株価はどんどん下がります。4000、3000、2000…
そしてとうとう、5日が経ち株価が1000円近くまで下がりました。
ここでようやく下げ止まりとなり、売却することができました。
結果として、20万円で勝った株が半分になってしまいました。0になったわけではないものの、その時はかなりのショックでした。
ただ、買った株が上がらず下がって損したのならダメージも大きくないのですが、1度100万円の夢を見た後に、売れない恐怖と絶望を抱えながら最終的に損をした事で、かなり深いダメージを追うことになりました。
何がいけなかったのか
バイオ株というのは、やはりギャンブル性が強い。
今回のように如何にメディアで取り上げられたり、ネットで騒がれたとしても、失敗してしまえば全てが泡となって弾け飛んでしまいます。
私がその事を忘れ、踊らされ、結局逃げられなくなってしまったという事です。
株で夢を見てはダメというわけではありません。
しかし勝てる人はきちんと目標の売値を決めています。どこまでも上がっていく株などありません。今回のように不測の事態も想定しなければなりません。
上手い人はきっと、周りに踊らされず4000円から6000円くらいで売り抜けていた事でしょう。
どんな株であろうと、いくらで買っていくらで売る。予想に反すれば損が大きくならないうちに早い段階で手放してしまう。
こういったリスクマネジメントが重要になります。
株の格言で「銘柄に惚れ込むな」というものがあります。
どんなに素晴らしい会社であっても、惚れ込んでしまうと相場感が鈍り、売らなければならないときに売れなくなってしまいます。
今回のアキュセラは、まさにこの格言の通りでした。
欲の恐ろしさ
あのとき、せめて4000円くらいで売れていれば…少しは借金の返済に充てられたのに…
そう今でも後悔するときがあります。
欲深さが判断ミスを引き起こし、悲惨な結果を引き寄せてしまいます。
それは株だけではありません。
いかに、自分の欲望と折り合いを付け、論理的に行動するか。
生きていく上で、それはとても重要な事です。
追伸
ちなみに、私が借金1400万円を抱えたのは株が原因ではありません。原因についてはまたどこかで…