しまきです。今回は薄毛のお話しです。
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ハゲの紋章
最近鏡を見るたび、髪の薄さが気になってきました。
というのも私の父方の家系が、ガッツリ薄毛の血筋でして、小さいころから父親には
「お前もいずれこうなる」
と光る額を輝かせながら脅されて育ってきました。
なのでハゲないよう、毎日風呂に入ってきちんと髪を洗う、たんぱく質など髪に必要な栄養をしっかり摂取するなど、若い頃からそれなりにケアを心がけてきました。
ですが年齢も大台に乗りまして、ストレスもあってか、とうとう前髪の生え際、いわゆるM字の部分の薄さが目立つようになってきました。
特にシャワーで髪を濡らすと、赤い地肌が見え、非常に寂しい河童のような姿に・・・
覚悟を決めて
鏡で見る河童の姿に、
「さすがに、これは、根本的に薄毛の対策をせねば・・・」
と、覚悟を決め、重い腰を上げてネットでAGA(男性型脱毛症)治療のページを探すことにしました。
まぁしかし、調べた事がある方ならお分かりの通り、AGA治療で検索すると、出るわ出るわ、クリニックや薄毛対策商品の広告が。
とりあえず、近場で口コミ評価の高い所へ。
数多あるAGAクリニックのホームページ。一体どこがいいのか皆目見当がつかないので、とりあえずGoogle検索の口コミ評価がよさそうな所を探しました。
そうすると、1件近所で評価が高いクリニックが目に止まりました。
家から歩いていけるし、口コミを見てもあまり悪いコメントは書かれていなかった為、これは問題ないかなと思い、このクリニックに行くことを決めます。
ただ事前にネット予約が必要だったため、ひとまず「明日希望」と送ったところ、クリニックの方から「既に予約がいっぱいなので、翌週以降でお願いします」と連絡が…
「おぉ、もう…しかし裏を返せば、それだけ人気店ってことなんだな。」
直ぐには通えなかったものの、反対に前向きに考え、結果翌週に予約を取る事に。
「少し間が空いてしまうが、人気ならばきっと対応も良いのだろうな。」
と期待に胸を膨らませました。
店は綺麗。美人のスタッフがお出迎え。
時間が経ち翌週。意気揚々とAGAクリニックへ。
そのクリニックは最寄りの駅前から徒歩2分ほど。雑居ビルの1Fにあり、店構えはとても小奇麗な感じ。
中に入ると、奥の方から美人な若いスタッフの方がやってきました。
(うんうん、これはよさそうだ。更に期待は高まる)
「いらっしゃいませ。それではとりあえず、事前アンケートに記載をお願い致します」
安くないぜ、ハゲ治療は
(待合室でアンケートを記入。なるほどなるほど。気になる症状を書けばいいんだな。M字の部分の薄毛が気になりますっと。)
しかし症状について記載していると気になる項目が・・・
(ん?なんだ、この項目。年収?そんなこと書かないといけないのか?あと、幾らまで予算が出せるか?結構やっぱりかかるのかな、費用。うーん、とりあえず1万円と。)
正直、借金返済の為にそれほど予算は割く事は出来ないけれども、このまま頭の上がサクラチルになってしまうのも切ない。ここは何とか1万円以内に収めたいところ。
美人のお姉さんから厳しいセリフが・・・
アンケート記入が終わると、診察前に先ほどの美人のスタッフと簡単なカウンセリングが始まりました。
「今の状態を維持したいですか?それとも髪の毛の量を増やしたいですか?」
それはもちろん「増やしたいです」と即答。
ここまでは良かったのです。しかし、それを聞いて帰ってきたセリフは甘いものではありませんでした。
「うーん…正直、1万円では厳しいですね。はっきり言って、増毛したいのならば、もう少し予算が必要です」
(な、なんと・・・毎月1万でも足りないのか)
借金野郎には厳しい現実を突きつけられました。
「とにかく、一度このあと先生からお話しがありますので、その話を聞いてまたどうされたいか教えてください」
(なるほど、この後医者からの診察があるのか。まぁ、そこできちんと話を聞いて、疑問に思う所もしっかり確認して、判断するとしよう。)
女医の独演会スタート
スタッフが去ったあと、入れ替わりで白衣の若い女医が入ってきました。
(愛想がよく、これなら色々と聞きたいことが聞けそうだ)
その先生は、まずなぜAGAが進行するのか説明してくれました。
AGAのメカニズム
女医の話では、AGAが発生するメカニズムは以下の通り。
①男性ホルモン中に存在するテストステロンが5αリダクターゼと結びつく
②5αリダクターゼがテストステロンをDHT(ジヒドロテストステロン)に変換
③DHTが髪の毛の毛乳母細胞にある男性ホルモンレセプターと結合
④脱毛因子である「TGF-β」を生み出す
通常、1つの毛根は生え始めてから抜けるまでに2~6年のサイクルを繰り返しますが、この脱毛因子が増える事により、毛の成長サイクルが短くなり、育つ前に髪の毛が抜けてしまいます。
1つの毛根は約40~50回程度の生え代わりと言われており、通常サイクルできちん成長してくれれば、寿命が100年だったとしても、それほど気にする必要はありません。
しかし、これがAGAの影響でサイクルが半分になってしまうと、抜けるスピードは速く、また生えていても産毛のような細い毛が増える為、結果として薄毛となってしまうのです。
テストステロン自体は、男性にとって必要なホルモンです。
またDHTも決して有害なものではなく、むしろ男性らしい身体をつくるためにも必要です。
男性生殖器の形成や成長に必要で、筋肉を増大させたり、髭など体毛を濃くしたりする役割もあるため、少なければよいというわけでもないのです。
しかし薄毛が気になるのであれば、このDHTが活発になるのを抑える必要があります。
DHTを抑える為に、5αリダクターゼを抑える
女医の説明はその後も続きます。
このDHTの原因は、テストステロンと5αリダクターゼとの結合です。なので、この結合が起こらないよう、5αリダクターゼの生成を抑える事が、抜け毛を抑える最も有効な手段になります。
で、この抑える薬というのが、あの有名な「プロペシア」です。
有効成分はフィナステリドと言って、これが5αリダクターゼの生成を抑えてくれます。
しかし、5αリダクターゼには2種類あり、フィナステリドではこのうちの1種類しか抑える事が出来ない為、両方の生成を抑える事がより重要なのだそうです。
これを可能にするのが「ザガーロ」と呼ばれる薬。有効成分はデュタステリドで、これを飲むことを推奨されました。
さらに発毛を促すためにミノキシジルが必要
そして、抜け毛を抑えるだけでなく、抜けてしまった毛根をよみがえらせるために発毛を促す必要があるのだといいます。
その為に、頭皮の血流を良くすることが大切で、これを実現するのが、CMでもよく目にする「ミノキシジル」。
一般的にミノキシジルは外用薬として販売されていますが、女医曰く、ミノキシジルは飲んだ方が、効果が高いのだと強く言いました。
そりゃそうですよね。なんでも塗るより体内に取り込んだ方が効果は高いのだから。
元々、ミノキシジルは高血圧の薬として開発されたが、のちに脱毛症を回復させる効果が発見され、外用薬として発売された経緯があります。
ですが、どうも女医の話ではこのミノキシジルの錠剤(内服薬)は、AGA目的では承認されていないようなのです。
気になる副作用
というのも、血圧を下げる効果があるため、特に内服した場合に低血圧を引き起こしたり、心臓などへの影響が懸念されるのだそうです。
当然薬には副作用は付き物です。ただ私は元々低血圧なため、この話を聞いた時に「ちょっと飲むのが心配だな・・・」と不安に感じてしまいました。
いくら薄毛が気になっても、健康と天秤にかけると割に合わないなと感じたからです。
「すみません、流石にちょっと副作用が気になりますね。私低血圧なもので・・・」
正直に自身の思いを吐露すると、女医からはこういったコメントが返ってきました。
「それほど気にされなくても大丈夫ですよ。飲まれている方は多いので。もし、体調に変化がありましたら中止いただければ問題ありません」
(・・・なんか、軽く言ってくるな。というか、ミノキシジルを推してくるな。もしかして、ここ商売っけの強いクリニックなのか?というか、この薬AGAとして未承認だし、低血圧の患者に進めていい薬なのか??)
飲み続けないと薄毛は進行する
「AGAは進行します。なので、DHTの生成を抑え、ミノキシジルで発毛を促すことが大事です」
女医は繰り返し説明してきました。これは、何かそういうマニュアルでもあるのかと勘ぐってしまいます。
とはいえ、AGAの原因については何となく理解でき、また世の中に出回っているプロペシアとミノキシジルがどんな効能なのかもわかりました。
(ところで、そもそも自分はAGAなのか?特に頭皮など診て貰っていないし、初めから自分がAGA患者である前提で話が進んでいるが、そこにあるカメラで診てくれないのだろうか。)
あっと言う間のカメラチェック
「あ、あのすいません。話は分かったのですが、頭皮は確認しないのですか?本当にAGAなのか診断するために」
思わず、女医に思ったことをそのまま伝えた。AGAかどうかも分からないのに薬を飲み始めるのは、やはり抵抗があるからだ。
「あぁ、そうでしたね」
(あれ、先ほど薬を飲まないと禿げますよ、と熱心に話していた時と比べ、トーンがやや落ちたな)
とはいえ、向こうも商売。一応ペン型のカメラで私の頭皮を診てもらうことに。
「毛先が細くなっているところがところどころありますね。AGAはすでに進行していますので、すぐに治療を始めた方がよいですね」
「あ、あぁ、そうですか」
やはりAGAなのか。しかし、さらっとカメラで見て分かるものなのかな。もっとちゃんと見てくれるものだと思っていたけど、こんなものなのだろうか。
買わないといけないようなプレッシャー
カメラ確認が終わったあと、
「この後スタッフが参りますので、欲しい薬を伝えてください」
と言って、女医はすたすたと立ち去った。
そしてまた入れ替わりで入ってくる美人スタッフ。
「先ほど説明があったかと思いますが、基本的には抜け毛を防ぐデュタステリドと、生やすためのミノキシジルをそれぞれ服用することをお勧めします」
「えっと、ミノキシジルって血圧を下げるんですよね・・・私、低血圧なんですが・・・」
「もし体に合わないようであれば、飲むのを中止してください。しかし、デュタステリドだけでは抜け毛の進行を遅らせる事ができても、生えてくることはありません」
(なんだろう、確かにそうなのかもしれないが、禿げるか飲むかの二択しかないような言い方をされると、こちらとしても返す言葉が無い。)
なんというか、この時に物凄く嫌な印象を感じました。
しかし、無言のプレッシャーに負けてしまい
「うーん・・・分かりました。それでは、取り合えずデュタステリドとミノキシジルを頂けますか?」
「ありがとうございます。それでは、今お薬をお持ちしますね」
結局折れて、デュタステリドだけでなくミノキシジルも購入してしまいました。
一方、ミノキシジルも売ることが出来て声のトーンが上がる女性スタッフ。
料金を見ると、13000円。予算オーバー。
(毎月この出費はきついな・・・しかも、ミノキシジルはちょっと不安だな・・・)
と、不安に感じながら待っていると、スタッフが戻ってくる。
「こちらがデュタステリドとミノキシジルになります」
スタッフが持ってきたのは白い分包に入った2種類の薬。
(え?これって、どこの製薬会社が作った錠剤なんだ?PTPシートに入ったものではないのか)
通常、調剤薬局などで処方される薬は、ちゃんと何処の製薬会社のものなのか、それは例えジェネリックであっても明示されるものです。
しかし、こちらはただの無地の白い分包だけ。
これは更に不安が募ります。いくら自由診療とはいえ、さすがにどこで作られた薬か、教えてほしいものなのですが…
しかもミノキシジルは未承認なのであれば、そのくらい説明するべきですが、聞いてもスタッフは明確に答えてくれませんでした。
後味が悪いまま、クリニックを後にしました。
ミノキシジル錠剤は、推奨しないクリニックも多い
半ば押し売り的なやり方もそうですが、渡された薬も、本当に飲んで良いのか心配になったので、家に戻ってから、ネットでミノキシジル錠剤について調べてみました。
(買ってはみたものの、さすがに体への影響が不安で、本当に問題ないか客観的な意見も気になるよな)
YouTubeや専門サイトなどでミノキシジル錠剤で検索してみると、そこには驚きの事実が出てきました。
「ミノキシジル錠剤、いわゆるミノタブは諸刃の剣」
「当院では、ミノキシジル錠剤は処方しない」
「AGAのガイドラインでは推奨されていない薬」
どうもミノキシジル錠剤は、体への負担だけでなく、飲んでいる間は生えてくるものの、飲むのをやめた瞬間に一気に抜け毛が進行するようです。
確かに、あのクリニックの人達が言っていたように、一度飲んだが最後、あきらめるその日まで飲み続けないといけないようです。
熱心にミノタブを勧めるクリニックはオススメしない
ここからは私個人の見解です。
今回訪れたクリニックですが、以下の点が引っかかりました。
・ミノキシジル錠剤がAGA治療のガイドラインで推奨されていない事を伝えていない
・処方する薬のメーカー、出処が明確でない
・ミノキシジル錠剤とデュタステリドの併用しかないような勧め方をした、
・薬のベネフィットばかり主張して、副作用に対する説明が乏しい
これらの理由により、クリニックへの不信感が一気に高まりました。
いくら薄毛に悩んでいるとはいえ、少なくとも自分はこの薬を頼るのはまだ早いと思いましたし、飲んでダメならやめればいいという無責任な勧め方にも腹が立ちました。
もちろん世の中には、納得してミノキシジルの錠剤、いわゆるミノタブを飲んでおり、効果を満足している方もいるかと思います。なのでミノタブを完全否定するつもりはありません。
ですが、飲まないと抜け毛が進行するばかりと不安にさせる事で、薬を飲むように勧める姿勢が、まるで某宗教の壺を買わせるような態度とダブってしまったんですね。
なので、正直もう二度とこのクリニックには行くことはないでしょう。
世の中、AGAクリニックは数多ありますが、中には薄毛で悩む患者を食い物にしているような所も少なくないと感じてしまいました。
結局、私はミノタブには一切手を付けず、デュタステリドのみ服用することに決めました。
発毛もそうですが、まずは抜け毛だけでも減らそうという狙いです。
勿論、デュタステリドにも副作用があります。性欲減退や精子への影響です。
ただ、こちらはAGAガイドラインで推奨されている薬ですし、何より国できちんと認可されています。
体に合うかどうか見極め、問題なければしばらく服用してみるつもりです。
また、今回きちんと調べなかった事を反省し、クリニックも誠実な所がないかもう一度調べはじめました。
そして、今回とは雰囲気の異なる新しいクリニックを発見するのですが、それについては次回またお話し致します。